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2017.06.21
つぶやき
歴史への招待 63) 将門(まさかど)
桓武平氏の祖、高望王は将門の祖父にあたる。
臣に下ったとはいえ皇族に連なる高望一族は、坂東に根を張り、広大な地域を支配する貴族だった。
一族の集まりで、鎮守府将軍として陸奥に赴き、蝦夷と対峙する父、良持(よしもち)を見下し揶揄する伯父たちに怨嗟のまなざしを向ける少年が将門だった。

伯父たちに怒りの言葉をぶつける将門、息子を制止し叩きのめす良持。場が騒然とする中、高望は少年二人を前にして
長男国香の嫡子良盛には「我が一族の繁栄の礎となる」と予言めいた言葉を発する。
一方将門には、逡巡の後、
「やがて帝をも超える、真の王になる」。 言った途端、高望は崩れ落ちるように倒れた。

父良持が陸奥の任地で、病に倒れ亡くなると、伯父達は将門が幼いゆえ管理・監督のためとの名目で父の所領を簒奪した。
不満ながらも、どうすることも出来ない将門は、良盛の後を追い都へ。
祖父の予言に縛られる良盛は、貴族として出世を目指し、将門にも平氏の隆盛のため共に歩もうと熱く語る。

それから十年以上の歳月が流れると二人の境遇には大きな差が出来てしまった。
漢籍や和歌に明るく公家受けのよい良盛は、左馬介となり屋敷を構えるまでになるが、処世術も知らず、坂東の気風の抜けない将門は、何の官職にもつけないまま藤原忠平の家人止まり。

止める良盛を振り切り、坂東に戻った将門。
家族や以前の家臣達が暖かく迎えてくれる。都とは違い人も自然も故郷の温もりが懐かしい。

ある日、遠駆に出かけて見初めた少女を、本能の赴くまま連れ帰って妻とした。
本人も望んだ事とはいえ、娘奈美には親の決めた相手がいた。
前常陸大掾(ひたちのだいじょう)源護の長子扶(たすく)の許嫁を奪った将門。しかも奈美は伯父良兼の娘だった。
伯父達の奪った土地を無理やり取り戻したことと相まって、将門は坂東の有力者をすべて敵に回すことに。

一門の平真樹と源護との土地争いの調停に乗り出した将門を迎えたのは、将門を憎む扶ら源護の息子達。話し合いを求めてきたはずが、弓矢の応酬となり、息子達を討ち果たしてしまう。
平家の棟梁でもある良盛の父国香に事の是非を問うつもりで国香の屋敷に向かうと、国香は甥の将門に討たれることを恐れ自害してしまう。

将門から戦を望んだ訳ではないが、一門の争いは、取り返しがつかないところまで行ってしまい、良盛や伯父良兼との争いは、坂東の国人を巻き込んだ争いに発展していく。
良兼ら既存の冠位官職に胡坐をかく有力国人と圧政と搾取に苦しむ下級武士との対立は、将門を中心に渦をなし、坂東一円に広まっていく。

将門は、三十年前の祖父高望の言葉を思い出していた。
「真の王」。意味が解らず、気に留めていたわけでもないあの言葉の意味が、今なら解る。
「民から多くのものを奪い、都でわが世の春を謳歌する公家などいらない」
坂東を制し、京へ。新皇となって民のための国を築くのだ。



「将門」矢野隆著 PHP文芸文庫 978456976578


橋本
2017.06.15 つぶやき
歴史新刊「江戸始図でわかった江戸城の真実」
「江戸始図でわかった江戸城の真実」 千田嘉博、森岡知範著 宝島社新書978480027129

徳川家康が築城した江戸城は、いくたびもの改築や焼失によって、その本当の姿は、はっきりしていなかった。
しかし、2017年松江市が発表した「江戸始図」によって、その姿がより鮮明に浮かび上がってきた。「江戸始図」とは、家康築城当時の江戸城の絵図であり、江戸城が権威の象徴と言うだけでなく、強力な要塞機能を備えていたことがわかった。

最新の研究を元に、江戸城と江戸の都市の歴史について解説した本書。
城郭ファンだけに止まらず、歴史好きにはたまらない1冊です。
2017.06.12 つぶやき
【福井市出身 中村理聖さん 第二作発売!!『若葉の宿』】本店
『若葉の宿』中村理聖著、集英社、9784087754360
中村理聖さんは、福井市出身で京都在住、『砂漠の青がとける夜』で小説すばる新人賞を受賞、2015年に小説家デビューされました。

待望の第二作のタイトルは、『若葉の宿』。
京都の小さな旅館に生まれた夏目若葉は、父を知らず、母は幼い頃に失踪し、祖父母に育てられた。
二十歳を過ぎた若葉は、新米の仲居として修行を始めるのだが……。

若葉は自分に自信がなく、失敗ばかり。そんな若葉が親友や祖父母、同僚や、京都の町の人々と交わりながら、ゆっくり成長していきます。

不器用でも、自信がなくても、自分の生き方を自分で決めた人には独特の強さがある。
そんな強さを感じられて清々しい気持ちになりました。
若葉が悩むたびに、「大丈夫」と見守るような気持ちで読みました。若葉に「大丈夫」と声をかけながら、自分自身にも「大丈夫」と言い聞かせていたような気がします。
若葉の姿に自分自身を重ねていたからかもしれません。
最後のシーンで、若葉がある言葉を発します。その言葉には、気持ちが奮い立つような強さと、幸せが広がっていきそうな予感が詰まっていて、私の中にも力と幸せが広がりました。
読むと力が湧いてくる小説です。

本店 樋口
2017.06.12 つぶやき
【おすすめの本】KaBoS宮前平店
『マインド・ゲーム』や『ピンポンTHE ANIMATION』等で知られる湯浅政明監督のオリジナル劇場作品『夜明け告げるルーのうた』。今回ご紹介いたしますのは絶賛公開中のこの映画の小説版。
しかし、俗に「湯浅ワールド」と呼ばれる、音楽やそれに合わせた独特の演出で視聴者をトリップさせる映像表現が特徴の湯浅作品を、わざわざ文字に起こしたものを読むことに果たして意味があるのか、という疑問を抱かずにはいられないのが正直なところではないでしょうか。
確かに小説では湯浅作品ならではのトリップ的映像美に浸ることはできません。が、逆に物語そのものに焦点を当てて読むことが可能であることが、小説版の最大の特徴となっています。というより、映画はその音楽と画面に完全に頭をやられてしまい、理性的な判断が非常に難しくなるのですよ。感情的にしか物語を見られなくなるので、落ち着いて俯瞰的視点でもって細かい箇所まで思索を巡らせるということは、少なくとも初見ではほぼ不可能となっているように感じます。
逆説的に小説版の意義を説く紹介文などいかがなものか、と思わないこともありませんが、実際のところ映画の映像と音楽の素晴らしさが尋常ではないので致し方ないのです。とはいえ、当然のことながら本作の魅力は作画や音楽がすべてではありません。脚本もよく練られており、この小説版は純粋に読み物としても十分に楽しめる上、映画の劇中では読み取りきれない、登場人物たちの細やかな心情が描かれてもいます。(できれば映画を観てから)ぜひ手にとってみてはいかがでしょう。

宮前平店
2017.06.12 つぶやき
【おすすめの本  忍びの国 和田竜フェア&忍者小説】KaBoSアピタ敦賀店
 戦国時代に、伊賀忍者と織田軍との間に起こった
 ”天正伊賀の乱”を題材にした和田竜さんの小説、
 「忍びの国」が映画化されます。

 時は戦国。伊賀最強の腕を持ちながら、怠け者の忍者・無門は、
 お金のために暗殺稼業を淡々と行うという生活をしていた。
 そんな中、圧倒的な軍勢を率いた織田軍が伊賀に攻め込んでくる。
 武力、兵力では太刀打ちできない無門率いる忍びの軍団は、
 人知を超えた秘策で織田軍に抗戦していく。
 果たしてこの死闘を制するのはどちらか!?


 和田竜さんの既刊本はもちろん、忍者を題材にした小説も
 取り揃えております。ぜひご来店ください!


   KaBoSアピタ敦賀店 上塚
 
2017.06.11 つぶやき
歴史への招待 62) さむらい道
最上義光(もがみ よしあき)。
出羽国(山形)の戦国大名で、山形藩の初代藩主です。

隣国の伊達正宗や越後から会津に入封した上杉景勝と比べると認知度は低く、義光を題材とした作品はほとんどなく、その生涯はあまり知られていません。

「さむらい道」を信条とし、出羽探題としての節義を守り決して他領を自ら冒すことなく、戦いも我を守る為の戦いに終始した義光の生き方は、戦国の世において光彩を放っています。
結果的に山形の地方城主から出羽一国57万石の太守に成り上がるのですが、卑怯な振る舞いや裏切りなどとは無縁で、四面楚歌に苦しみながらも武士としての矜持を守り通し、大大名になった人物です。

義光は数奇な運命に翻弄された生涯を送ることになります。
幼くして母は、父義守から暇を出され出家してしまい、側室の子義時を可愛がり弟に家督を継がせたい父に疎まれ、一時他家へ幽閉される。
しかし、祖父の代からの旧臣達に支持され、山形復帰を果たし、一種のクーデターにより父義守を隠居させ家督相続を果たす。

家督相続はしたが、父の画策により、米沢の伊達輝宗を中心に山形包囲網が出来上がってしまう。
伊達の大軍を迎えた戦いは、地の利とゲリラ戦法で撃退に成功するが、その後も山形膝元の中野、最上川西岸の白岩、谷地、東岸の天童との争いに苦慮します。

秀吉の世になると「惣無事令」とは名ばかりで越後からの進攻を受け、止む無く上杉との争いに巻き込まれるが、上杉びいきの裁定の末、出羽庄内地方を上杉に浸食されてしまう。

秀吉の北条征伐では、父の葬儀により伊達正宗より遅参するが、家康の口添えにより咎めはなく所領は安堵された。
しかし、秀次に末娘駒姫を気に入られ側室に出さざる負えなくなる。
しかもあろうことか秀次謀叛の嫌疑に連座して、駒姫は斬首。義光も謀叛の疑いで幽閉される。
度重なる窮地を救ったのは、またも家康の助けだった。

家康の上杉征伐では、義光は無論「さむらい道」として、家康の恩義にむいる側で参戦を決意するが、家中では、他領を自ら冒さないと言う「さむらい道」に反するのではとの異論もあった。結局、戦いを仕掛けて来たのは上杉側の直江兼続で、ここでは家中はまとまり一丸となって直江軍と対峙し奮戦します。
最後は、東軍大勝の報とともに、直江兼続は軍を返し、義光は「負けまい、勝つまいの戦」を制し、出羽を守り通します。

関ケ原で家康が大勝し、後の徳川幕府開幕の基礎を築いたことは周知の事実ですが、家康が安心して軍を返すことが出来たのは、懸念の種上杉を牽制し引き留めた、義光への信頼も大きな要素だったのです。


「さむらい道」上巻 高橋義夫著 中央公論新社 978412004963
「さむらい道」下巻  978412004964


橋本
2017.06.06 つぶやき
【おすすめCD&DVD】KaBoSベル店
《ありがとう!だいすけお兄さん!メモリアルCD&DVD同時発売》
今年3月に、「NHKおかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを卒業した、
だいすけお兄さんの9年間の想い出の曲を集めた、メモリアルCDとDVDが6月7日に同時発売!
あの、大人気かぞえてんぐも登場!!あつこお姉さん、たくみお姉さんとの曲が盛りだくさん!
DVDには、だいすけお兄さん卒業のあいさつ、だいすけお兄さんからのメッセージなど、特典映像もたっぷり収録。

*CD「メモリアルアルバムPlus やくそくハーイ!」・・・¥2,800+税
*DVD「メモリアルPLUS〜あしたもきっと だいせいこう〜」・・・¥3,200+税

KaBoSベル店
2017.06.06 つぶやき
【おすすめCD】KaBoSベル店
《俳優・菅田将暉デビューシングル6月7日発売》
俳優・菅田将暉が、au三太郎サッカー応援CMソングとしてオンエア中の楽曲
「見たこともない景色」を、デビューシングルとしてリリース!
初回盤は、「見たこともない景色」ミュージックビデオを収録したDVD付。

先着特典として、ポスターをプレゼント中です!
(特典ポスターは、無くなり次第終了となりますので、お早めにご来店ください。)
2017.06.01 つぶやき
歴史への招待 61) 黎明に起つ
物語の主人公は、北条早雲こと伊勢新九郎(盛時・宗瑞)。
新九郎は、政所執事伊勢貞親を宗家とする庶家備中伊勢氏、伊勢盛定の次男として京に生まれる。
兄貞興(さだおき)は、京で室町幕府申次として備中伊勢氏の将来を担い、次男の新九郎は備中の所領を管理するため備中荏原荘で幼少期から育った。

備中での平穏な暮らしは長続きしなかった。
十二のとき京では、将軍義政の跡目争いと、畠山氏・斯波氏の内紛などが絡んだ応仁の乱が勃発。
新九郎は、宗家のために証人(人質)となり、貞親と反目し伊勢国に逃れた将軍義政の弟義視を帰洛させるため荏原荘を旅立った。

義視とともに戻った京で目にしたのは、一面の焼け野原とおびただしい死骸の山だった。
京に戻ってすぐに敵方西軍の一色勢が義視邸を襲い、その中にいるはずのない兄貞興を見出してしまう。
義視を守る新九郎と貞興は、なりゆきから闘うことに。気が付けば兄貞興を討ち果たしていた。
呆然とし失意の新九郎は、出家しようとするが父盛定にこう諭される。
「わしや亡き新八(貞興)は、民のためより良き世を創ろうとしてきた」しかし、
「高位の者は、地位や財に縛られ利害を生み、利害の反する者と対立する魔と化している」
「そなたは大地に根をおろした生き方をせよ」

父に諭され荏原荘に戻った新九郎は、戦乱に荒れ果て、疫病に悩まされる民を救おうと私財を投げ打ち救恤小屋を設けるが、押し寄せる流民をすべて救うことなどとてもできない。
疫病が下火になったとき残ったのは、巨額の負債のみだった。

新九郎は、一族を守る為、意を決して上京する。魔の巣窟に身を投じ、幕府申次となるために。
京に戻った新九郎の見たものは、政道を顧みず、私利私欲に翻弄される魔物たちだった。
民の為、いつか「わしはこの国に楽土を築く」。
京での暮らしが長引くにつれ、漠然とした思いは信念へと変わっていった。

姉の依頼を受けて駿河へ下向した新九郎(盛時)は、先の駿河守護今川義忠と姉桃子の遺児竜王丸を今川家の家督に据えることに成功し、駿河に所領を持つ身となる。

これが後の北条氏関東制覇の足掛かりとなる。
将軍義政の庶兄、伊豆の堀越公方足利政知急死とその後の関東管領山内上杉家と古河公方派の台頭、さらに次の将軍足利義材との連携は、応仁の乱以後の乱れた世を立て直し、将軍家の権威を復し、民のための世を目指す細川政元らに、新将軍の擁立と政治体制の一新を決意させる。

新九郎は、細川政元の依頼を受け、亡き堀越公方政知の正室満と、遺児潤童子を惨殺した政知の庶子茶々丸を打つべく伊豆へ向かう。
伊豆の制覇は、新たな一歩に過ぎない。果てしない戦いの開幕でもある。
民の為、日本国を楽土に変える為に。


「黎明に起つ」伊東潤著 講談社時代小説文庫 978406293424


橋本