【お勧めの作家】 江國香織と村上春樹
2013/03/06 12:40
【お勧めの作家】江國香織と村上春樹
カボスアピタ敦賀店、三國です。
今、日本の純文学を読むならば、江國香織と村上春樹です。明治の文学を読むならば漱石と鴎外を読めば必要十分であるのと同じように。
二人は@自らの作品世界を深化し「続けて」いて、A読者もそれを支持し「続けて」います。現存する純文学作家で、新潮文庫で幅を利かし「続けて」いるのは、この二人だけです。
二人は芥川賞を得ていません。江國香織はなぜか直木賞です。村上春樹は芥川賞を辞退しています。大丈夫か、芥川賞。
二人の長編をほぼすべて読んだ中から、江國香織について三つお勧めします。すべて新潮文庫です。
1.一番凄い作品『神様のボート』
江國香織は、恋する女性の狂気を描く、上手である。
本作は、それと同時に母子それぞれの喪失と再生を描く。まさに離れ業。
p272葉子の独白「懐石料理屋のフロアでは、私は和服を着て働いている」の絶望感よ。それでいて最後は“しゅるん”とハッピーエンド。びっくり。
2.『きらきらひかる』
「アル中の妻にホモの夫」が、お互いの愛情だけで生活しようと決意するシーンが、重い設定とはうらはらに軽やかで『きらきらひかる』。
二人の愛情に軋みをもたらすのは他者の善意と常識である。それはゆっくりと二人の生活に入り込む。p194の絶望的なカタルシス。それでも響く福音。大団円とはこのことをいう。
3.『がらくた』
狂気も崩壊もない。たんたんとしている。江國香織のもう一つの世界だ。
特別な男を借りちゃった話である。しかもお互いに。悪びれもせず。それがまったく嫌味でない。盗ってないからである。借りた男は返しましょう。
p329の美海の心境「これがそれか」が凄い。続く言葉に、大人になろうとする女の可憐と残酷を感じる。可愛いと思う。
大人の女と大人になろうとする女。二人のアバンチュールをさらっと描く秀作である。










